夏になると現れ「ちくっ」と刺して血を吸う蚊はみんなの敵。
最近は特に、ウイルスを持った蚊がもたらす感染症が世界中で流行しています。蚊が媒介する病気から、自分自身や大切な家族を守るために、まずは正しい知識を身に付けましょう!
- 家族を守る!防蚊マニュアル
- 蚊を媒介とする感染症とは?
- 蚊を媒介とする感染症の種類
- 私たちができることって何?
- 蚊に刺されないことが一番の予防策!
- 海外でも虫から守ろう!
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- 感染症の参考サイト
ピクニック、キャンプ、花火大会、アウトドアスポーツ、ガーデニングなど、
春から夏になるにつれ屋外での楽しい活動が満載です。しかし、このような場では蚊が常に私たちを狙っています。
特に、近年の地球温暖化の影響で蚊が生息地を拡大し増加する懸念が叫ばれる中、
特に気を付けたいのが蚊を媒介とする感染症です。
蚊を媒介とする感染症には色々ありますが種類によっては、ワクチンがないものもあり、
特に子どもの感染には気を付けなければなりません。まずは蚊に刺されないことが大切です。
感染症予防について知識をもって、夏の野外活動を楽しみましょう!
- ジカ熱
- デング熱
- マラリア
- 日本脳炎
- 西ナイル熱
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ジカ熱
ジカ熱とは新興感染症で、感染したヤブカ(Aedes)属の雌の蚊を媒介して人に感染します。
地球にはおよそ3,500種類もの蚊が存在しますが、ジカウィルスに感染する媒介蚊は、 現在のところネッタイシマカのみとされていますが、専門家によるとその他の種類のヤブカ(Aedes)属の蚊、 特にヒトスジシマカもウィルスに感染する可能性があると指摘しています。
予防に関しては、日中に蚊(ヤブカ)に刺されない工夫が重要です。 具体的には、長袖服・長ズボンの着用、忌避剤(DEETを含むものが効果が高い)の使用などです。 また、妊婦あるいは妊娠の可能性のある女性はジカ熱流行地への渡航を避けることが望ましいとされています。 ジカ熱感染に対して完璧な予防法はありませんが、上記の予防策を実行することで、 蚊に刺される確率を減らすことが感染予防に繋がります。- 症状
- 軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。
- 媒介する蚊
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- ヤブカ(Aedes)属の蚊
- ネッタイシマカ
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デング熱
デングウィルスに感染した蚊が媒介する病気です。
主な媒介蚊はネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどです。 多くは数日から数週間の治療で治りますが、まれに重症化する場合があります。
熱帯、亜熱帯地域のほぼ全域に分布し、東南アジア、南アジア、中南米において患者の報告が多くあります。
アジア、中東、アフリカ、中南米などでは年間1億人近くの患者が発生しており、 約25万人以上が出血熱を発症しています。流行する時期は蚊の繁殖する雨季に多いとされています。- 症状
- 感染後3〜7日経過してから、発熱(38.0℃以上)、頭痛、目の奥の痛み、 筋肉痛や関節痛といったインフルエンザ様の症状がでます。 また、発熱して3〜4日後から胸やお腹に赤〜桃色の小さな発疹が出て、次第に手足や顔面に広がります。
- 媒介する蚊
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- ネッタイシマカ
- ヒトスジシマカ
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マラリア
マラリア原虫に感染したハマダラカが媒介する寄生虫病です。
人に感染する4種類の原虫のうち最も恐ろしいのは熱帯マラリア原虫です。
発症すると、高熱、頭痛、関節痛が起こります。 熱帯アフリカ、インド亜熱帯、東南アジア、オセアニア、中南米等に分布しています。
世界中の熱帯・亜熱帯地域で流行しており、2013年12月に公表された統計によると、 1年間に約2億700万人が感染し、推計62万7,000人が死亡しています。 日本でも100人近くが輸入感染で発症しています。- 症状
- 1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて、発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出ます。
- 媒介する蚊
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- ハマダラカ
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日本脳炎
日本脳炎は、コガタアカイエカによって媒介される日本脳炎ウイルスにより起こる感染症です。
日本脳炎ウイルスは、豚や、サギなどの野鳥の体内で、無症状のまま増えていきます。
ウイルス感染した動物を刺した蚊(特に水田で発生するコガタアカイエカ)に刺されることで、 ヒトに感染することがあります。 約300人に1人はウイルスが脳に侵入し、神経細胞で増殖して脳炎を起こしてしまいます。 治療方法がなく、一度脳炎になってしまうとかなりの割合で後遺症が残ってしまうため、 ワクチンによる予防が第一です。ただし、日本脳炎のワクチン接種する人が減少したため、 今後の発症増加が危惧されています。- 症状
- 高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こします。
- 媒介する蚊
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- コガタアカイエカ
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西ナイル熱
西ナイルウィルスに感染した蚊が媒介する病気です。
主な媒介蚊はイエカ、ヤブカ、ハマダラカ等の種類です。 西ナイルウィルスが日本に上陸した場合は日本に生息する蚊のうち、 アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ、ヤマトヤブカなどがウィルスを運ぶとされています。
もし、西ナイルウィルスを持った蚊に刺された場合、発病するのは感染した人の約20%と言われています。 発症すると、発熱、頭痛、筋肉痛、食欲不振などの症状が起こります。- 症状
- 発熱、頭痛、筋肉痛、食欲不振などが主な症状です。
- 媒介する蚊
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- アカイエカ
- チカイエカ
- ヒトスジシマカ
- ヤマトヤブカ
など
原因となる蚊を発生させないために
蚊を媒介してうつる感染症には予防接種やワクチンがない場合もあります。 そこで、自分たちで出来ることから予防を始めることが大切です!
蚊は、水面に卵を産みます。
家の周りに溜めたままの水を放置しないようにしましょう!
蚊の幼虫(ボウフラ)は、汚水槽、川、水田、下水溝などの他、ポイ捨てされた空き缶、
お菓子の袋、ペットボトルのフタなどにたまったごくわずかな水でも発生します。
家の回りのゴミ拾い、容器にたまった水を捨てる、溝の掃除をする など、ボウフラの住処を無くし、普段からこまめな注意が必要です。
まず、原因となる蚊を発生させないことが大切です。
蚊が多く発生する場所は、竹やぶ、森林、水田、草むら、墓地などです。 このような場所に出かける時には、出来るだけ長そで、長ズボンを着用し、肌の露出を避けるようにしましょう。
虫よけ剤は忌避剤なので、蚊を殺すのではなく蚊に刺されるのを防ぎます。 普段の対策として、外出の際、屋外で作業をする際などは、 手足などの肌が露出している部分に虫よけ剤を使いましょう。 また、虫よけ剤は大量に汗をかいたり、水にぬれたりすると効果が落ちるので、 使用方法を守って、ぬり直しましょう。
子供の使用には使用方法、使用上の注意を守って使用してください。
小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督のもとで、 以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。
- 6か月未満の乳児には使用しないこと。
- 6か月以上2歳未満は、1日1回の使用。
- 2歳以上12歳未満は、1日1〜3回の使用。
日本ではあまり馴染みがない感染症もありますが、蚊によって感染する病気は他にもあります。
すべての蚊が感染症を引き起こすウイルスを保有しているわけではないので、
蚊に刺されたことだけで過度に心配する必要はありませんが、特に海外旅行の際には、
現地の感染情報に気をつけて、事前にしっかりと予防対策を行うことが大切です。
また、虫よけ剤の中には、携帯に便利で機内に持ち込める製品もあるので、 特に蚊の多い時期、地域に旅行される際は、虫よけ剤を持ち物リストに入れることをお勧めいたします。
- アカイエカ
- ヒトスジシマカ
- チカイエカ
- ブユ(ブヨ)
- ノミ
- イエダニ
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分類
イエカ属
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形態
成虫の体長は約5.5mmで、体色は淡赤褐色。
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繁殖時期
早春〜晩秋
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発生源
下水溝、どぶ、防火用水など
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生態・習性
メスが産卵時に吸血する。 吸血活動は10月頃まで続き、その後休眠状態に入り、メスの成虫は越冬する。 日本で最も代表的な蚊で、主に夜間に活動し、夜、家の中に入ってきて刺したり、 庭などで獲物を狙ったりする。活動範囲は数数百m〜数kmと広範囲。鳥類も好んで吸血することから、 日本にウエストナイルウィルスが上陸した場合にウィルスを媒介する危険性が高いとされている。
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分類
ヤブカ属
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形態
成虫の体長は約4.5mm。黒色で、背中に一筋の白い線がある。
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繁殖時期
夏期
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発生源
空き缶、古タイヤ、植木鉢の皿、墓地の花立てなどにたまった水
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生態・習性
メスが、産卵時に吸血する。卵は乾燥に耐え、次に雨水がたまった時に孵化する。 湿った落ち葉やコケなどにも産卵する。卵の状態で越冬する。 庭ややぶにいて、昼間、人を刺す。 吸血などの行動も素早く、敏捷でつかまえにくい。行動範囲は100〜150mと狭い。
デング熱を媒介する蚊として知られているが、ウエストナイルウィルスが日本に上陸した場合に主要な媒介蚊となると言われている。
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分類
イエカ属
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形態
成虫の体長は約5.5mm。アカイエカの亜種で非常によく似ている。
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繁殖時期
通年
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発生源
水洗トイレの浄化槽やビルの地下の溜まり水、地下鉄の側溝など
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生態・習性
吸血しなくても一回目の産卵をして繁殖できる。 冬の蚊ともいわれるように、低温に強く、冬期も休眠しない。 冬の吸血被害はこの蚊によるもの。都心のビル街でも問題になっているように、 一年を通じて安定した環境を提供してもらえる都市化が進んだ地域ほど多く発生。 住環境の変化に伴い、今後の増加が予想される。
ウエストナイルウィルスを媒介することができるといわれている。
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形態
成虫の体長は3〜5mm。ずんぐりとした小型のハエのような虫。 吸血をするのは、アシマダラブユ、アオキツメトゲブユなどの数種類。
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繁殖時期
主に5〜10月夏期
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発生源
灌漑用水や川の岸辺や水中に垂れている植物の葉に産卵
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生態・習性
幼虫、さなぎは水質のきれいな河川に生息するため、農村や、渓流、キャンプ場など山間部で多く発生。 吸血するのは、蚊と同じでメスのみ。朝夕に活動し、集団で群れをなして襲うこともある。 人の皮膚に傷をつけ、流れ出た血液をなめるように吸血する。 蚊よりもかゆみがひどく、人によっては赤く腫れあがったり、水疱ができることも・・・。
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形態
翅(はね)が退化した昆虫の仲間。 体は縦に扁平で、寄生する動物の毛や人間の皮膚の間を素早く動くのに適している。
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寄生動物
人、犬、猫などの哺乳類。 中世のヨーロッパを震撼させたペストは、ネズミに寄生するケオプスネズミノミが主な媒介者として知られている。
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生態・習性
成虫の寿命は約1年。一生に200〜300個の卵を産む。 幼虫は宿主の巣のゴミに含まれる有機物や自分の親のフンなどを食べて成長。 成虫になると宿主に寄生し、オスもメスも吸血する。長い後ろ脚で体長の約200倍も跳躍する。
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形態
成虫の体長は0.5〜1mm。汚白色をしているが、吸血すると赤黒くなる。
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寄生動物
ネズミ
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繁殖時期
春秋がピークだが、年間を通じて繁殖
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生態・習性
雌は生涯で約100個の卵を産む。卵は、約2週間で成虫に成長する。 成虫は主にネズミに寄生し、ネズミの血を吸って生活している。 ネズミが死んだり、ネズミの体から落下するなどして宿主から離れると、人やペットなどを吸血する。
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