〜カビの現れるところならどこまでも〜 カビ探偵がゆく!
小さなカビでも見逃さない名探偵。それが何を隠そうこの私。皆さんはカビのことをよく知っているようで、まだまだ甘く考えているところがあるようだね。
たとえばお餅にカビが生えてしまったけれど、もったいないからカビのところだけ削って食べてしまった…、そんな経験はないかい?
見た目にカビが無くなったから安心と思ったら、それは大きな間違い。
お餅に生えるカビは表面だけ削っても、知らないうちに奥深くまで侵入していることがあるんだよ。
カビの種類にもよるけれど、表面のカビだけ洗い流しても中に入ってしまったカビは洗い流せないし、煮たり焼いたりしてもその毒性が消えるとは言い切れないんだ。
だからカビの生えた食品は口にしないことが一番。
このようにカビの被害については知ってさえいれば防げることが多いから、私の調査報告を参考にしっかりカビ対策をしてほしいな。
カビ胞子が先かカビが先か? カビの一生はエンドレス
カビとはいったい何でしょう?
それは地球が誕生して約45億年といわれる歴史の中で、30数億年前にはすでに生まれていたとされる微生物“菌”の一種。もともとの生息場所は土の中で、無数の種類のカビが太古の昔から身をひそめて生き延びてきました。
ではどうして土の中にいるはずのカビが、私たちの住まいや食べもの、衣類や靴などに移り住み、姿をあらわすのでしょうか?
その謎を解くカギはカビのライフサイクル。
カビの一生はとても小さな胞子に始まり、植物のように発芽し、細胞分裂しながら成長します。やがて菌糸が十分に伸びて成熟すると、新たな胞子を作って空気中に舞い上がり、動物や鳥、昆虫についたり、風によって移動して新たな場所に着床。そこでまた発芽と成長、胞子飛散を繰り返してエンドレスな一生を送るのです。
つまりカビは胞子となって、空気中を自在に移動し、適度な湿気と温度、栄養のある場所ならどこでも着床・発芽・成長ができる油断もスキもない存在。いつでもすぐそこにいて、私たちの暮らしに入り込む機会をうかがっています。
カビ胞子はどこにいる?
カビのライサイクルと生態を見るかぎり、どうやらいたるところにカビ胞子が浮遊している可能性があるようです。
それなら私たちは知らず知らずのうちに、カビ胞子を吸い込んで暮らしているのでしょうか?
残念ながら答えはイエス。
そういわれてもピンとこないという方は、今や多くの人を悩ます
スギ花粉を想像してみてください。近くにスギの木があろうとなかろうと、春になるとスギ花粉は風にのって広範囲に撒き散らされ、花粉症の人につらい症状をもたらしますよね。
空中を浮遊してどこにでも漂えることに関しては、カビ胞子はいわばスギ花粉と同じ。
それどころか季節を問わず発芽と成長・飛散を繰り返しているのですから、私たちは一年中、空気といっしょにカビ胞子を吸っていると考えてよいでしょう。
そこで気になるのが健康上の影響。もちろん健康な人であれば過剰な心配は無用ですが、カビの胞子は気管支喘息などのアレルギー疾患を引き起こす原因ともなるので、なるべく吸い込まないよう気を配ることも必要です。
そのためにも住まいのカビ対策をしっかりとしておくのに越したことはありませんよね。
カビ胞子をふやさないためにも、こまめにカビ退治を
住まいの中にはカビが好む3つの条件、栄養となる汚れ、温度、湿気のそろった場所がいっぱい。
中でもバスルームはカビが最も発生しやすいスペースの1つです。
カビを増やさないために換気を十分におこなって湿気を追い出すとともに、水アカや石鹸などの汚れをきれいに洗い、洗面器や浴槽のフタなどは時々天日に干すなどして、カビのつけこむスキを極力なくしましょう。
それでもカビが生えてしまったら、いよいよ「カビキラー」の出番。
大切なのはカビを除去し、空気中のカビ胞子をふやさないこと。
カビ取りによって大気中のカビ胞子を取り除くことはできませんが、なるべく頻繁に対処することが、外から侵入するカビ胞子を室内に根付かせないための有効な作戦です。